導入事例
世界最高峰のゴルフツアー「PGA TOUR」が選んだ、新しい雷害対策
ZOZO ChampionshipにおけるPDCE避雷針導入と、エイトエージェンシーの提案力
大規模な屋外スポーツイベントにおける雷害対策は、近年の気象条件の変化を背景にした現実的なリスク対応として、重要なテーマとなっています。今回の記事では、2023年に開催された「ZOZO Championship」でのPDCE避雷針採用事例を紐解きながら、プランニングから施工までを解説します。
本事例のポイント
- PGA TOURという世界最高峰のトーナメントにおける落雷リスクとその対策
- プレーの妨げにならず、かつ広域保護を実現した「移動式高所運用システム」
- 必要な時に5分以内に展開できる運用体制
- 世界基準の芝コンディションを守りつつ、ダウンタイムを抑える施工
1PDCE避雷針とは
PDCE避雷針とは、建物や屋外施設、イベント会場などで、雷を寄せ付けにくい電界環境を作ることで、落雷による人や設備への被害を防ぐ雷害対策装置です。雷を特定の場所に誘導する従来型の避雷針とは異なり、保護範囲内に雷を呼び込みにくくする原理を採用。ゴルフツアーをはじめとする大型スポーツイベントで急速に普及しています。
2世界最高峰の舞台が直面する雷害リスク
PGA TOURは、世界のトッププレーヤーが集結する世界最高峰のゴルフツアーです。その公式トーナメントである「ZOZO Championship」は、国内外から数万人の観客が訪れ、その運営には様々なリスクに対応する高い水準の安全管理が求められます。
特に、広大なコース全体に人が分散するゴルフトーナメントでは、特有の落雷リスクが存在します。
- 避難の困難さ
- 観客・選手・スタッフが広範囲に分散しており、一斉に避難できる屋内施設が限られる。
- 構造物の点在
- 大型テントが並ぶギャラリープラザや中継設備など、雷を誘引しやすい構造物が点在する。
- 気象の急変
- 近年、雷雲の接近から落雷までの時間が短縮化しており、後手の対策では人命に関わる。
このようなリスク条件から、主催者は「雷が来てから逃げる」のではなく、雷をそもそも寄せ付けない「防雷ゾーン」が必要との結論に達しました。
3エイトエージェンシーによる施設分析と保護計画
エイトエージェンシーでは、以下の視点から対策を設計しました。
3.1施設特性と運営要件の詳細分析
ゴルフ大会の雷対策には、「保護範囲の最大化」と「プレーの妨げにならない」という、相反する課題があります。PDCEによる防雷ゾーンを広げるには高い位置にPDCEを設置する必要がありますが、そのために常設の避雷タワーを立てることはプレーの妨げになってしまいます。この難題に対し、エイトエージェンシーは「高所作業車にPDCEを搭載し、必要な時だけ展開する」という解決策を提案しました。
3.2PDCE Magnum選定の技術的根拠
エイトエージェンシーは、今回以下の理由からMagnumシリーズが最適であると判断しました。
- 「面」で守る圧倒的な保護範囲:Magnumは保護角が約78度と非常に広く、設置高さの5倍(最大半径100m)という広大な範囲をカバーします。設計上限の20mの高さに設置することで、直径200mに及ぶ防雷ゾーンを形成することができます。
4プレーと安全を両立する「移動式高所運用システム」
PDCEは高い位置に設置するほど保護範囲が広がりますが、ゴルフトーナメントでは高所への人工物の設置はプレーの妨げとなる可能性があります。これを解決したのが、エイトエージェンシーのノウハウが詰まった運用方法です。
- プレーの妨げにならない
- 平常時は高所作業車のアームを格納しているため、プレーの妨げになりません。
- 迅速な展開
- トーナメント中、高所作業車にはオペレーターが常駐。運営本部の気象予報士が監視するデータと連携し、指示からわずか5分以内に高さ20mまでPDCEを展開する事ができます。
5施工と運用 ― 大会運営を止めない綿密な計画
世界最高峰の大会運営を妨げないよう、エイトエージェンシーは極めて緻密な運用体制を構築しました。
- 戦略的な配置と養生:最も人が滞留する「ギャラリープラザ」と「18番ホール周辺」を重点エリアとして特定し、PDCE 2基を配置。高所作業車の進入ルートには徹底した養生を施し、習志野カントリークラブが誇る世界基準の芝コンディションを守り抜きました。
6導入効果とエイトエージェンシーの使命
PDCEは詳細なプランニングに基づいて設置して、初めてその安全性を高めることができます。今回の導入により、以下の成果が得られました。
- 広い保護ゾーンの構築とプレー環境の維持を両立
- 世界基準の芝の保護と、設営・撤去にかかるダウンタイムの最小化
- オペレーション負担の低減と、安全対策の可視化
今回は人命を最優先したゾーニングを構築しましたが、落雷そのものを抑制するPDCEの特性は、重要な撮影機材や通信機材の保護にも役立てることができます。
エイトエージェンシーは、豊富な実績と施設分析に基づく設計力で、あらゆる屋外施設の安全と運営の継続性をサポートします。